言語の誤りか成長か

言語習得・英語教育

8歳10ヶ月。

今年の夏は、沖縄でのサマーキャンプに参加する予定でしたが、東京で緊急事態宣言が出されたため、キャンプはキャンセル。外出の機会もかなり減りました。

そんな中で参加したオンライン・サマーキャンプ。お友達に教えてもらって、試しに申し込んでみたのですが、1日4時間というなかなかハードなスケジュール。最初は心配していましたが、本人も楽しんでいるようです。使用言語は日本語ですが、カバーする内容は、英語でも何となく触れてきた内容なので点と点が繋がっている感じがします。

先日の課題は、世界の女性リーダーで気になる人を選んで、その人についてのポスターを作るというもの。私は手伝わず、参考になるウェブサイトだけ一緒に探しました。

提出時にそのポスターを見せてもらったら、色んな点が興味深く、写真に撮ってみました。

間違い?言語成長?

参考にSmileが読んだ記事は、こちらのサイト。英語で書かれています。

そして、Smileが作ったポスターで興味深かった点がこちら(青字がSmileが書いた内容):

  • スウェーデン →  スワェデン
  • プリマス → プライマス
  • 2003年1月3日 → 1月3日2003年

気がつきましたか?

学校ではまだローマ字を習っていないSmile。「ウェ」という表記も習ってないので、「スウェーデン」は、英語の音 /swi:dn/自分が知っている日本語の音を言語化したものを組み合わせて、「スワェデン」としたと考えられます。

“Sweden”の/w/は、日本語の「ワ」が音的に近いと判断したのかな?

「プライマス」は、英語表記“Plymouth”を、自分が知っているフォニックスルールと、今までの経験から、

  • “ply”→「プライ」
  • mouth → 「マウス」

といった風にコーディングしたと考えられます。Olympicの/ly/は「リ」と発音しますが、flyfrycrypryなんかの言葉は/y/は「アイ」と読みますよね。そちらのルールを応用したと考えられます。

そして日付は英語の順序のまま、日本語に直しています。日本語だと「年月日」の順番ですね。

言語干渉?言語転移?言語の影響?

言語習得の分野で、母語が目標言語に何らかの影響を与えることを言語の転移(language transfer)とか言語干渉(language interference)のように表現されることがあります。

以前はどちらかというと否定的なニュアンスで使われることも多く、最近では cross-linguistic influenceと言われることが多いようです。

上の、Smileが書いたものは「誤り」というよりも、Smileの言語成長過程が表れたものではないかなと思っています。いわば、母語である日本語と第二言語である英語、両言語に影響を受けた成長過程の言葉、中間言語(interlanguage)

「スワェデン」も年月日の順序も、インプットとして何回か触れる機会があったら、書けるようになると思うし、「プライマウス」も、”Plymouth”が語彙として蓄積されれば(lexicalized)、フォニックス読みをせずに、その語彙の読みが自動化されます。

こういった言葉の間違いは、言語成長の過程を目に見える形で見せてくれるので貴重な記録。

バイリンガル育児、日々の発話やこういったものからも面白い発見があります。

 

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