文字読みへの道 ② : サイトワード

言語習得・英語教育

今日はインスタでもいただいた質問、

2 『サイトワードとフォニックス、どちらが先?』という質問に関して。

 目次
  1. フォニックスの導入時期っていつがいいの?
  2. サイトワードとフォニックス、どちらが先?
  3. 英語の土台がない子はどうする?
  4. 音は入った。その後は?

 

 1. サイトワードとは
サイトワードってどんなものなのか?過去の記事に詳しく書いてあるので、
まずはそちらを読んでいただければと思います。

“sight”は「視覚」という意味。

つまり、頻繁に目にし、ぱっと見で理解しなくてはならない単語のことです。

英語にはフォニックスでは読めない単語が数多くあります。

サイトワードにはそういった単語も多く含まれます。

そのためサイトワードは、フォニックス読みではなく、その単語をまるごと覚える必要があります。

(過去の記事『サイトワードについて』から)

またサイトワードは、英語圏に住む子どもが知らなくてはならない、日常で頻繁に目にする言葉も含まれています。

そういう点でもサイトワードを読めるようになれば、絵本や本など読める範囲がうんと広がるのです。

 2. サイトワードとフォニックス、どちらが先?

質問にもありましたが、サイトワードとフォニックス、どちらを先に導入したらいいのか?

これも 過去の記事に書きましたが、子どものサイトワードへの関心度や言語成長のスピードも違うので、一概にいつがベストとは言えませんが、

アルファベットの小文字を理解できて、基本的な音(letter sounds)が入って、3文字単語を読めるようになってきたあたりだと、混乱も少ないのかなと。

下のように、3文字でできた簡単な文でもサイトワード(a, the, isなど)は出てくるので、まずはそこから読み方を提示することからはじめてもいいかもしれません(フォニックス読みをさせると混乱するので、読み方を提示すると◎)

A yellow cat is on the bat.

 3. サイトワード vs. フォニックスで読める言葉

サイトワードとフォニックスで読める言葉、この二つがどう違うのかと言うと、

たとえば、couldという言葉。

これはサイトワードに含まれていますが頻繁に目にする単語で、フォニックス読みでは読めません。

サイトワードとして読む場合は左から右に読み、塊で覚える。これで「クッド」。

 could 

    →

でもフォニックスで読むと、一文字一文字、アルファベットので読むので「クッ オ   ア  ル   ドゥ」のようになってしまう爆  笑

  c–o–u–l–d 

写真のように形を覚えるか、一音ずつ読むか、という違いがあります。なのでサイトワードは、フォニックスでは読めない単語を読めるようにサポートする、痒いところに手が届く、そんな役割なのかなと。

 

 4. どんな風にして導入すればいいのか?

これも過去の記事にまとめてあるので、そちらを読んでもらえればと思いますが、

❶ 自分でフラッシュカードを作る

❷ 市販のフラッシュカードを使う

❸ サイトワードのリーダー本を使う

といった方法が考えられます。
❶の場合は、ドルチ博士、フライ博士がまとめたサイトーワードのリストが揃っている、こちらのサイトがおすすめ。小学校3年生までに必要なサイトワードが学年ごとにまとまっています。
❷の場合は、アマゾンで “sight words flash cards”と検索したらたくさん出てくるので、子どもに合ったものを選ぶと◎。

❸の場合も、アマゾンで “sight words readers”と検索したら、ボックスセットがたくさん出てきます。

 

(サイトワードというわけではないけれど、読めない子を読めるように導いていくguided reading向けなので読みやすい内容)

わが家の場合は、家で座って取組みをするというのをあまりしなかったので、フラッシュカードは作らずに外出時にひたすら❸でした。
読めない単語が出てくる度に読み方を横から教えてあげる。それの繰り返し。そうやって徐々にリーダー本のレベルを上げていくという感じでした。
 5. 余談:Whole Language Approachという考え方

日本ではフォニックスが有名になっていますが、アメリカでは、真の読解力を身につけられないとして

フォニックスに対する批判も根強くあったようです。

ホール・ランゲージ・アプローチとは、フォニックスのように、単語単位で文脈から切り離された教え方をするよりも、絵本の読み聞かせをたくさんしたり、体験や様々な言語活動を通して、読む力は自然に身についていくものだ….という考え方。こういった考え方を支持する教育者も多かったようです。

“whole”は「全体の」という意味。

言語を全体から捉えるという考え方。読ませるための本ではなく、生きた言葉に触れられる絵本や題材にたくさん触れさせたり、書いたりすることで自然に言葉を習得していくものだという考えを元に、レッスンを組んでいく教育者も多いとのことです。

ホール・ランゲージ・アプローチがいいのかフォニックスを入れるべきなのか、長らく論争がされてきたようですが、どちらも必要な考え方として今は落ち着いているそうです。

わたしも、どちらも大事だと考えています。生きた言葉に触れさせ、様々な言語活動を通してリテラシーを育むトップダウンの方法(全体から細部を理解していく)も大切だし、日本語を第一言語とする子どもや読み書きがあまり得意でない子にとっては、フォニックスのようなボトムアップの方法(細かい単語単位から全体を把握する)も必要なんじゃないかなと思います。

 

「あら。うちの子は読み聞かせと語りかけだけで自然に読み始めたわ」という方がいらっしゃったら、それはWhole language approachで言っているような、豊かな言語環境に子どもがいて、且つ文字に対して敏感だったために読めるようになったケースですね😆

だけれどみんながそれで読めるようになるわけではない。

 

だからこそ、良書と言われる絵本を読んであげる(リーダー本は読ませる為の本なので、読み聞かせにはリーダー本よりも絵本を)

同時にリーダー本やフラッシュカードなど読ませる為の教材も利用しつつ読みをサポートする。

そうすることで子どもへの負担は減り、より読むことへの楽しみを見出せるようになる。ということではないかなとクローバー

 

 6. 最後に
文字読みへの道 ①』でも書きましたが、フォニックスと同様、サイトワードに関しても言葉の意味が分からなければ、読めても文の内容を理解できないといったことが起こりうるので、やっぱり基礎的な語彙力は重要になってきます。
フォニックスに固執しすぎても読みの流暢さが失われるし、フォニックスをやらなくても途中で読みにつまづく子も出てくるかもしれない。
読みは長い道のり。
焦らずに、今の子どもの英語力を観察して難し過ぎない内容のものを選んだり、子どもに負担のないレベルのものを用意する。一方で、絵本など生きた英語に触れられる機会もたくさん設けてあげることが大事なのかなと思いますニコニコ
【参考文献】
・Freeman, D., and Freeman, Y. (1988). Whole language content lessons for ESL students.
・Rigg, P. (1991). Whole language in TESOL. TESOL Quarterly, 25 (3), 521-547.

コメント

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