駄々をこねる

4歳8ヶ月。

普段わたしと一緒にいるとき、Smileが酷いワガママを言うことはあまりないのですが、

数日前、久しぶりに手を焼くくらいの駄々をこねたSmile。

プリスクールの工作で使う画用紙を買いに、大型スーパーへ行ったのですが、

“Mommy, look! I want this. Can you buy this for me?(お母さん、見て!これ欲しい。買って)”と大きな声。

振り向くと、そこには 風船と空気入れのセット。500円くらいのものです。

「今日は買わないよ。また今度ね」と言ったら、途端に表情が曇り、「でも欲しかった…」とSmile。

画用紙を見つけてレジで待つ間も、後ろでずっと グズグズと駄々をこねるSmile。

店を後にしようとしたら、周りの人が振り返るほどの声の大きさで泣き始めました。

  • わたし: Is it nice to whine like that? (そんな風に駄々をこねるのはいいこと?)
  • Smile: 《わたしを睨めつけて》No.(ううん)
  • わたし: I know you wanted that toy so badly. But you don’t always get what you want, Smile. (すごい欲しかったのは分かるけど、欲しいものが全部 もらえるわけじゃないよ)
  • Smile: 《黙ったまま》
  • わたし: If you could ask me nicely when we come here next time, I might buy it for you.(この次また ここに来て、その時に ちゃんとお願いできたら 買うかもね)
  • Smile: I want it today…! (でも今日欲しいの…!)
  • わたし: I want clothes and books and shoes, too. But I don’t always get what I want. Can you buy them for me?(お母さんだって服や本や靴が欲しいよ。でもいつも手に入る訳じゃないよ。Smileが買ってくれる?)
  • Smile: 《少し表情が緩み》No!(いや!)
  • わたし:《Smileの声色を真似て》Why not? Please? You’re my mommy, right?(どうして?お願い。わたしのお母さんでしょう?)
  • Smile: 《吹き出して》Nooooo! I’m not your mother! I’m your daughter!(いや!!マミーのお母さんじゃないもん。マミーの娘だもん)

以前だったら、「ダメなものはダメ」でSmileも諦めてくれていました。

でも5歳近くになり、感情も段々と複雑になり、それだけでは済まないときが出てきました。

1歳半から2歳は、何を言ってもイヤイヤの時期。まさに根比べ(過去の記事『根比べ』)。

3歳は、いかにSmileの気持ちの切替えを出来るか。

4歳の今は、子どもだましの理由は通じません。その時の状況とSmileの心の状態で言い方を変えなくてないいけない。

毎回、どう言ったら伝わるのか考えさせられます。

最近では、何気ない一言にも傷つくようになったSmile。

普段は おしゃまで口が達者な4歳だけれど、心は繊細で傷つきやすい。感受性が育っているのを日々 感じます。

 

 

親子ベビークラス

4歳8ヶ月。

先月より、勤め先の英会話スクールで、親子ベビークラスが始まりました。

普段は、小学生クラスと大人のクラスを担当しているのですが、今回、1歳までのベビークラスも担当することに。

定員は10名ですが、予想以上の申込みにびっくり。6月はキャンセル待ちも多いため、7月分を急遽 増やすことに。

でも、自分の英語サークルや プライベートレッスンもあってスケジュールは ぎっしり。そのため当座は月1〜2回に限定。

初回はスクールにお願いして、Smileも同伴することに。

手足を使った遊び歌や、絵本の読み聞かせを中心に 45分。

45分のうち10分は、家での取組みを紹介しました。「英語は苦手だけれど、どんな取組みをしたらいいのか知りたい」という、とても熱心なママばかりで質問もたくさん。

Smileも、道具を配ったり、赤ちゃんをあやしに行ったりと、随分と手伝ってくれました。

同伴は今回限りと思っていましたが、”I wanna do it again(またやりたい)!”とSmileからリクエスト。

しばらくはSmile同伴の親子ベビークラスになりそうです。

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レッスンの準備をしている横で、「やけに静かだな」と思って横を見ると、アルファベットのフラッシュカードを作っていたSmile。

Smileへのバイリンガル育児と同様、親子ベビークラスに参加する親子が、少しでも楽しんでくれたら嬉しいです。

 

ネイティヴへの憧れ

4歳8ヶ月。

バイリンガル育児を初めてから、3年。

バイリンガル育児で大切にしてきたことは、「多様性を受け入れる柔軟性」。

Smileにも、新しい環境や人に対して壁を作らないようになって欲しいと思い、接してきました(過去の記事『多様性と異文化理解』)。

そして その土台にあったのは、

「英語」という言語、あるいは「英語ネイティヴ」を美化したり、言語によって優劣をつけたりしないこと。

たとえば、「英語ネイティヴが優れている」とか「英語を訛りなく話せる人は すごい」というようなメッセージを、Smileが受け取らないように気をつけていました。

2歳くらいのときだったでしょうか。誰かの英語を聞いて、”◯◯’s English is silly.(◯◯の英語は変だね)”とSmileが言いました。

もちろん、この時のSmileに悪気はありません。いつも聞いている英語の発音と違うから、純粋に「違う」と思っただけ。

この時 わたしは「皆んな、アクセントが違うし、違っていて当たり前。英語を話さない人だってたくさんいるよ」とSmileに話しました。

あらゆる物事に対するイメージは、メディアや社会を通して構築されるものです。言語や人種に対するイメージもそう。

小さい子であれば、それは一番 身近な家庭を通して構築される。

つまり、わたしの英語に対する考え方が、そのままSmileの考え方に反映されてしまうということ。

わたしたちは、実社会で様々なコミュニティに属しています。

Smileの場合は、プリスクール、おうち英語仲間とのプレイデート、新体操教室といったコミュニティに属しています。

社会言語学者のNorton氏は、こうした実社会のコミュニティだけではなく、「想像上のコミュニティ(imagined communities)」も存在する、と言います。

この「想像上のコミュニティ(imagined communities)」は、今 実際に属しているコミュニティよりも影響力があるのだそうです。そして 動的で 移り変わるものである、と(Norton 2010)。

分かりやすく言うと、Smileはよく「難しい英語を学びたい」と言います。

この場合、今のSmileの「なりたい自分(imagined identities)」は、難しい英語を話している「未来の自分」。

そして その「難しい英語を話している自分」が、将来 ニューヨークに住んでいることを想像するとします。

そこで 学校に行き、新しく友達ができ、様々なコミュニティに所属する自分を想像する。これが想像上のコミュニティ(imagined communities)です。

難しい英語を話し、ニューヨークに住んでいる自分を想像する。

それが今の行動の原動力となり、「もっと英語の本を読もう」とか「英語を話そう」とか、

自分の時間と労力を そこに投資するか否か、ということに繋がるのです(関連記事『モチベーションと投資』)。

Smileの今現在の「自分の未来像(imagined identities)」は、これからSmileが何を経験し、何を感じるかで、どんどん変わっていくと思います。

だからこそ、感受性の強い この幼少期に、Smileが 英語ネイティヴに憧れるようなメッセージを受け取り、

そこに近づくためだけに 時間と労力を投資してほしくない。

ネイティヴのように話せるようになって欲しいとも思いません。「ネイティヴらしさ」というのは、発音や流暢さなど表面的な部分で計っている場合が多いからです。

それよりも知性や人間性、社会性など、もっと本質的な部分を伸ばしてほしいな、と。

なにより、英語を「自分の言葉のひとつ(the ownership of English)」と感じてほしいし、

ネイティブ/ 非ネイティブ関係なく、自信を持って自分のことを「英語話者」と思ってほしい。

そして しっかりとした軸があるアイデンティティが 育ってくれるといいなと感じています。

行きつけのコーヒーショップにて、初めて会ったアメリカ人のスタイリストと。Smileとの出会いをSNSに書いてくれました。

こんな風に、壁がなく世界を広げていけるSmileが頼もしくもあり、うらやましくもあります。

“…as English language learners reimagine their futures in a changing world, the question “Who owns English?” will become ever more strident and contested.”

移り変わる世界において、英語学習者が自分の未来を新たに想像するとき、「英語は誰のものか?」という問いは、ますます大きな問題となり、論争の的となるだろう。

Pavlenko, A., & Norton, B. (2007). Imagined communities, identity, and English language learning.

(参考文献 他)

Norton, B. (2010). Identity, literacy, and English-language teaching. TESL Canada Journal, 28, 1, 1-13.

ネイティヴの子とフォニックス ①

4歳8ヶ月。

先週は、英語ネイティヴの子どもへの 読みレッスン初日でした(過去の記事『英語ネイティブの子に読みレッスン』)。

4歳のEちゃんと 6歳のBちゃん。2人とも母語は英語です。

事前に2人の読みのレベルは聞いてはいたものの、実際にレッスンをしてみないと分からないので、

いつもよりもレッスンプランは入念に。フラッシュカードや教材も多めに用意しました。

普段、日本語が母語の子ども達に教えるときは、アナリティック・フォニックスを使っています。

ABCの順に教え、「A」の名前は「エイ」で、音は「ア」という風に、名前と音を同時に教えていきます。

単語の最初の音が大事にされるのも特徴。たとえば”ball(ボール)”という言葉だったら、

ボールの絵を見せながら、

“What letter does it start with?(なんの音から始まる?”と聞き、

子どもは  「ブ」 と答える。

Smileもほとんどアナリティック・フォニックスで音を覚えてきました。

ただ普段、英語に関わりがない子たちに教えるときに難点が。語彙力をある程度つけないと、アナリティック・フォニックスは時間がかかるということ。

アナリティック・フォニックスで読めるようになっても、語彙力がなければ、文の理解にも時間がかかります。

そのため、語彙を増やすアクティビティもたくさんします。

今回は、英語ネイティブなので、語彙の部分は簡単にクリア。

でも今度は違うハードルが。語彙力があるからこそ、絵から単語を推測してしまい、文字に意識がいかないのです。

たとえば、「W」のカード。クモの巣が描かれているフラッシュカードを見て、Bちゃんが即座に

  • Bちゃん: Oh, I know what it is! It’s a spider web!(何か分かった!クモの巣でしょ?)

そして “w-e-b(クモの巣)”の文字には意識がいかず、最初の音である「w」の音もなかなか入らないのです。

そんなことが何度かあり、もしかしたらアナリティック・フォニックスは この子たちに向かないんじゃないか、という判断に。

そのため次回は、文字の「音」だけに意識を向かせるために、シンセティック・フォニックスでアプローチしてみようかと。

実はSmileは、シンセティック・フォニックスにも馴染みがあります。プリスクールでJolly Phonicsの歌に触れていたからです。

シンセティック・フォニックスは、ABCの順には教えず、よく使う音から、7つのグループに分けて教えていきます(グループ1: s   a   t    i   p   n)。絵による推測もしません。

単語の最初の音だけに注意を向けるのではなく、初めから一つ一つの音に注意を向けるので、

習った音を組み合わせて、早い段階から読めるようになります。

たとえば、グループ1(s  a  t  i  p  n)の3文字(s  a  t)を習っただけで、”at”や “sat(座った)”という単語を読めるように。

英語ネイティヴだから、すんなり音も入るかと思いきや、思わぬところで出てきた課題。

子どもによって、言語習得過程が異なるように、当然 読めるようになる過程や速度も異なる。

講師としても日々 勉強です。

レッスンの準備をしている傍で、レッスン用に使うゲームで 遊ぶSmile。

英語の歌を覚える

4歳8ヶ月

Smileにモアナの歌詞カードを作って欲しいと言われたのが2ヶ月ほど前(過去の記事『通りすがりのアメリカ人と』)。

それ以来、色んな歌の歌詞カードを催促されています。

歌詞カードを作るのも なかなか大変で、まだ『モアナ』の”How Far I’ll Go”と、『美女と野獣』の”Beauty and the Beast”しか作っていません。

でも、Smileには 効果 絶大。

耳だけでは聞き取れない難しい単語の読み方も、難しい表現もあっという間に覚えてしまう。

“Mommy, what does ‘blinding’ mean? (’まばゆい’ってどういう意味?)”など、歌詞の意味を聞かれ、わたしも 若干 冷や汗をかきながら説明。

Smileに聞かれた言葉を、簡単にして説明する。わたしも よい勉強になっています。


歌詞カードを見ながら歌うSmile。失くさないように、番号を振ってリングで留めています。

普段、歌詞をじっくり読むこともないので、Smileに良い刺激をもらっています。

日本語の美しさ

4歳8ヶ月。

数日前、「寝る前に読む本を選んで」とSmileに言ったら、

  • Smile: マミーが好きなお話がいい
  • わたし: どれ?
  • Smile: 子どものとき読んでたやつ
  • わたし: 『銀のくじゃく』?
  • Smile: うん

銀のくじゃく』は、わたしが小学1年生のときに お友達から もらった本で、7つの短いお話が入っています。

7歳のわたしには 少し難しい本でしたが、作者の安房直子さんの描く 美しく 儚い世界に魅了され、もう何回 読んだか分からないほど。

中学、高校、大学、大学院、社会人時代、Smileを産んでから…。どんなときも 手元に置き、思い出したら 読む本。

短編集の中でも お気に入りは、『銀のくじゃく』。

幼い弟と暮らす貧しい機織りが、ひょんなことから、弟と離れて 森の奥の塔で  みどり色のクジャクの旗を織るというお話。

機織りが連れてこられた塔には、4人のお姫様と、老人が1人。

「みどり色のクジャクを織ってほしい」と老人に頼まれた機織り。

でもお姫様に頼まれたのは、銀のくじゃく。

「銀のくじゃくなんて いるのだろうか」と戸惑いながらも、機織りは段々と幻の銀のクジャクに心惹かれていきます。

そして旗が出来上がったとき…

というお話。当時は 読めない漢字もたくさんありましたが、そんなのは気にならないほど、この世界に夢中になりました。

Smileが1歳未満のとき、寝かしつけながら横で読むことが何度かあったのですが、

不思議なことに、まだ言葉も話さない年齢なのに静かに聞き入って、すんなり寝てくれることが多かったのです。

バイリンガル育児を始めて、英語の絵本もたくさん読んできましたが、日本語の表現の美しさや奥深さも分かって欲しくて、

3ヶ月の頃から日本語の絵本にも たくさん触れさせてきました(過去の記事『ぶっくくらぶ』)。

そんなSmileが、 わたしが大好きだった本を気に入ってくれて、なんとも感慨深い。

日本にいながらのバイリンガル育児。だからこそ日本語を大切にしたい。

五感に働きかける インプット

4歳8ヶ月。

英語での語り掛けを始めてから、3年。

発話が出るまでは、とにかくインプットでした。

量も もちろん ある程度は大切ですが、それ以上に意識してきたのが意味のあるインプット(過去の記事『意味のあるインプット』)。

レベルにあってない語り掛けをしたり、動画ばかりを見せたりはしませんでした。

1歳という低年齢もありますが、英語の取組みで使ってきたのは、身の回りにある物だけ。

そして、耳や目からだけでなく、触覚、味覚、嗅覚に働きかけるインプットが効果的だったように思います。

インタラクティブなインプットという点では、動画や音源のかけ流しとは 少し異なるかもしれません。

触るだけで、物の硬さ(hard/  soft)、温度(cold/ hot)、滑らかさ(smooth/ rough)を教えられるし、

味わうだけで、色んな味(sour/ sweet/ bitter/ salty)を舌で覚えられるからです。

下の動画は、1歳10ヶ月のSmile。味覚以外の感覚に働きかけて インプットをしています。

この時期は、とにかく「インプットとリピート」の時期で、自発的に発話出てきたのも この時期。

      • Smile: 《桃を持って》おおきい。
      • わたし:That’s big! (大きいね)
      • Smile: 《小声で》big.(おおきい)
      • わたし: Can you put the peach in the box? Yeah?(桃を箱の中に入れられる?)
      • Smile: 《桃を戻そうとする》
      • わたし:There you go. Thank you. And what else do we have?(ほら。ありがとう。他には何がある?)
      • Smile: Egg!(卵!)
      • わたし:Egg? Yes. You’re right! Eggs.(卵?そう。その通りね。卵)
      • Smile: 《卵のパックを持ち上げる》
      • わたし:That’s it. Thank you. Eggs. Thank you.(そう!ありがとう。《複数形にして》卵ね。ありがとう)
      • Smile: Eggs.(卵)
      • わたし:And what else do we have? What’s in the box?(あとは?何が入ってる?)
      • Smile: Apple!(りんご)
      • わたし:Apples? Those are peaches.(りんご?それは桃だよ)
  • わたし:あ!What is this?(これは何?)
  • Smile: にんじんさん!
  • わたし:This is zucchini(これはズッキーニ!)
  • Smile: Zucchini.(ズッキーニ)
  • わたし:See?(ほら)
  • Smile: See?(ほら)
  • わたし:Do you want to hold the peach?(桃 持ってみる?)
  • Smile: Yeah.(うん)
  • わたし:《桃を渡して》Here you go. This is peach.(ほら。桃だよ)
  • Smile: Peach.(桃)
  • わたし:Can you smell it?《匂いを嗅ぐフリをして》Can you smell it?(匂いをかげる?)
  • Smile: 《匂いを嗅ぐ》
  • わたし:It smells like peach.(桃の匂いがするね)

動画①では、Smileの日本語を英語に言い換えています。会話は止めずに、肯定しながら訂正。

遠回しな訂正は、伝わらない場合も多いですが、”egg”を”eggs”に言い換えるなど、効果的なときも多いです。

ただ、この時点では「”-s”を付ける」という風には気が付いてはいません。

動画②では、触らせたり、匂いをかがせたりしています。

リピートが多いですが、リピートは とても大事な要素。

リピートを繰り返すことで、インプットの文法的要素に気がつき(noticing)、インプットが内在化します(intake)。

その繰り返しで、アウトプットに繋がってきます。

ここで大事なのが、そのインプットに「気がつく」かどうか。気がつかなければ、それはインプットの役割は果たしていないのかもしれません。

そういう意味で、発話が出るまでは、五感に働きかけるインプットが重要になってくるのかな、と。


お気に入りのコーヒーショップにて レモン水。

自発的な発話が出るまでは、食いしん坊のSmileには、食べ物を使った働きかけが一番 効果的でした。