英語のこういうところが

4歳0ヶ月。

Smileと1日に何度となくするやり取りがあります。

  • わたし:I love you.(大好き)
  • Smile: I love you more.(わたしの方が大好き)
  • わたし:I love you most.(わたしの好きが一番大きいよ)
  • Smile: 《”I”を強調して》No! I love you most!(ううん、わたしの好きが一番大きいの!)

2歳になって間もないころ、ラプンツェルの映画の影響で覚えた このやり取り。それからは毎日の習慣となりました。

日頃 思っていても日本語だとなかなか言えない、「大好き」という言葉。英語だと とても自然に感じます。

そんな やり取りに今年の初めあたりから加わったのが、この方もまた大好きなブロガーの一人、さんごまみぃさんの紹介してくれた もの。

“I love you.”を言う代わりに、手を3回 ぎゅっと握る。

「ぎゅっ ぎゅっ ぎゅっ」で “I     love     you”という秘密の合言葉。

さんごまみぃさんのブログを読んだ次の日から さっそくSmileにしてみると、目をキラキラ輝かして、バス停までの道のりを何度も何度も 手を「ぎゅっ ぎゅっ ぎゅっ」。

今は、思い出したように お互いに ふと手を握ったりしています。

Smileを叱って、お互いにぎこちない雰囲気のときでも、手を「ぎゅっ ぎゅっ ぎゅっ」とするだけで、Smileに笑顔が戻ります。

たったの3語。たったの3回。

英語の こういうところが好きです。

叱られてベソをかくSmile。こんな時でも手を ぎゅっ ぎゅっ ぎゅっとすれば途端に笑顔。

心地のよい言葉とは

4歳0ヶ月。

ここ最近、バイリンガル育児をやっている友達と話す機会が何回かあり、Smileとわたしの関係を振り返っています。

一人のママは、自身が帰国子女で、4歳の子どもには0歳から英語で語り掛けてきたとのこと。英語を話す子ども達とのプレイデートも頻繁にしていて、その子にとって英語は日常にあるものだったようです。

様子が変わったのは、その子が日本の幼稚園に通いだしてから。ママが英語で語り掛けると泣いて嫌がる日もあるそうです。嫌がるのに、無理に英語の取組みを続けていいものか、というのが そのママの悩み。

そのママの話を聞いていて、自分の幼少期を思い出しました。アメリカから帰国し、日本の幼稚園に通いだして、お友達もでき、日本語はどんどん覚える。でも、英語は日々 抜け落ちていく。

そんな恐怖と不安で困惑しているときに、英語は苦痛でしかなかった。

その4歳の子も、そんな気持ちなんだろうか。と思わずにはいられませんでした。

【情意フィルター】

第二言語習得理論に、「情意フィルター」という考え方があります。Krashenという研究者が80年代に唱えた理論で、

簡単に言うと、学習者には見えないフィルターがあり、不安、モチベーションや自信の低下などネガティブな感情になると、そのフィルターが上がり、言語学習を妨げるというという考え方。

その4歳の子のように、6歳の頃のわたしも、英語に対して情意フィルターが上がっていたんだと思います。

【アイデンティティと投資】

ただ、この理論には、学習者の性格や、さまざまな社会環境の中で移り変わるアイデンティティの要素は入っていません(Norton, 1995)。言語学習と、モチベーションと投資の関係について以前 書きましたが、

他言語や異文化に対して、その子の情意フィルターが上がるか下がるかは、その子の性格や、家の外でのアイデンティティも深く関わっていると感じます(以前の記事)。

たとえば、幼稚園のお友達と遊んでいるときに(家の外でのアイデンティティ)、うまく自分の意見を日本語で伝えられず、仲間に入れないことは、その子にとっては大事件。このとき、その子にとって他言語に対する情意フィルターは高く、モチベーション低くなっている可能性があります。

【その子にとって心地のよい言葉か】

ここで、無視できない要素が、その他言語(ここでは英語)がその子にとって、心地のよい言葉かどうか。ある特定の人と、あるいは 特定の場所では心地よい言葉であっても、他の人(ここではお母さん)とは、恥ずかしいとか複雑な感情で心地わるく感じたりするかもしれない。

その子を取り巻く環境、性格、親との関係、学校(単一文化か多文化かどうか)などによっても、その言語に対する「心地よさ」は大きく変わってくると思います。

しかも、その子のアイデンティティを含む こういった要素は、動的で常に変わるもので、昨日そうであったからって、今日も同じということではない。

【Smileにとって いい塩梅を見つける】

Smileを見ていると、「人、場所、時間」によって、心地のよい言葉が変わるようです。

わたしとは、英語と日本語。でも怒っているときは英語、機嫌がいいときは日本語。逆のときも。

お父さんとは日本語。プリスクールのお友達とは英語だけど、おうちごっこをするときは日本語。

日本の公立小学校に入り、日本語の環境に入ったら、またこれも変わっていくだろうし、今でも毎日 少しずつ違います。

毎日 Smileの様子を見ながら、Smileにとって 英語(日本語)が心地悪い言葉にならない程度に いい塩梅を見つけて取組みをしている、という感じでしょうか。

今現在であれば、Smileが日本語環境に入っても お友達とのコミュニケーションで不自由を感じないように手伝う。

それに伴い、わたしと英語を使うのが 「心地悪く」ならないように、英語の取り組みも 毎日のSmileの様子を見ながら 続ける。

そして、できるならば、今後 どちらかの言語に対して情意フィルターが高くなることがあっても、Smile自身が それを乗り越えるべく、自分の時間と労力を「投資」できるように、ときに手伝い見守りたいです。

…even when learners have a high affective filter, it is their investment in the target language that will lead them to speak.

目標言語に対して情意フィルターが高くても、学習者がその言語に投資することで発話につながる。

(Norton Peirce,B. (1995) Social identity, investment, and language learning. TESOL Quarterly, 29 (1), 17.)

プリスクールでの ある日。この日は終始 日本語でした。